読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

本質的にちくらぎ

文芸サークル「本質的にちくらぎ」のページです!

『あみめでぃあ』の目的について――「概念への叫び」(L)

f:id:E-chikulagi:20151114193132j:plain

(illustrated by mayoi)

 

 はじめまして。

 

 私は『あみめでぃあ』で編集をしているらららぎ(@lalalagi_chatte)と申します。ここは、文章系サークル「本質的にちくらぎ」が頒布している『あみめでぃあ』のページですが、それがどんな目的を持っているのかお伝えしたいと思います。どうかお付き合いくださいませ。

 

 みなさんは「愛」「絆」「親」「穏便」「教育」「大人」「約束」「リズム感」「走り」「狂う」「回る」「好きな人」と言われたときに、それが何のことだか分かるでしょうか。

 

 おそらくですが、(そうやって改めて問われてみると)何となく分かるようで、実はよく分からないと思います。それは僕も同じです。子どもに「ねえ、大人ってな~に?」と聞かれたら、とても困惑して、少しだけ焦って、辞書に載っているようなフツーの答えをしてしまいそうです。

 

 ですが、「大人」という言葉にはいろいろな事情があります。早く大人になりなさい。大人の味。大人っぽいね。大人げないことするな。大人の色気。ここからは大人の時間だ。大人になんかなりたくない。大人の事情。大人と子ども。大人の遊び。大人の付き合い。大人料金。大人の目の届く場所――。

 

 ここに挙げた「大人」は、この世にある「大人」の用例のほんの一部ですが、これはどれも「大人」であり、どれも別々の意味の「大人」であると理解できると思います。くどくどと記してみましたが、これだけの「大人」を並べられたあとに、「ねえ、大人ってな~に?」と尋ねられたとしましょう。さすがに、お手上げですよね。

 

 ほかにも、「善」って何だろうと考えたときに、「ボランティア」とか、「席を譲る」とか、「荷物を持ってあげる」とか、「募金する」とか、「相談に乗ってあげる」といった具体的なアクションしか思いつかないものです。これは善ではなくて、善にもなりうる一例でしかありません。つまり、「荷物を持ってほしくない人」もいるし、「席を譲られて不快になる人」だっているということです。

 

 私たちは、そういう経験をしたときに「善って、何なんだろう」と考え始めます。席を譲る方がいいのか、でも譲られて嫌な人もいる――いろいろな人がいて、いろいろな価値観があって、いろいろな状況があって、何が「善いこと」なんだろうと分からなくなります

 

 このように「分かっているようで、実は分かっていないようなこと」を、私は〈実は自明ではない概念〉と呼びたいのですね。考えていけばいくほど、ほとんどのことは「自明ではない」のです。絶対に当たり前だと思っていたことが、実は説明できないことだったりするのです。

 

「おかしいなあ……もっとちゃんと考えなきゃダメだ、僕はもっと分かりたいんだ!」

 

 そんな〈概念への叫び〉から生まれたのが、この文芸誌です。「善になりうる一例」を挙げて満足するのではなくて、「善そのものとは何だろうか」と考え抜くこと。「好きといえる具体例」を出して満足するのではなくて、「好きとは一体何のことで、好きな人と言ったとき、それは概念的に何を言っているのだろうか」と考えてみること。

 

 私たちが目指しているのは、そういった〈叫びへの救い〉です。

 

 ここで、『あみめでぃあ』(第二号)の冒頭に記したことを引用させてください。

 

概念とは何か、学校で教わらなかったことのひとつでしょう。だからこそ、概念の捉え方、概念の使い方、概念の作り方、概念の貰い方、概念の編み方には、おのおの独得な《手口と工具》があるはずです。概念を編むこと、それを言葉で語り尽くそうとすること、学校で習った教科的なことの数々とは少しだけ決別して、自分の気に入っているやり方で、「無理かもしれない、だからこそやってみよう」という反骨的な精神で、それぞれの勢い余った勇み足が、しだいに足並みを揃えていくラブな奇跡を期待して、無理を承知で語っていただきました。前回に引き続いて、少しずつ少しずつ大きくなっていく概念の面妖な編み模様を、どうかご味読くださいませ。(あみめでぃあ一同)

 

 私たちは、自分の気になる概念を選びます。そこから「実は当たり前ではなかった何か」を取り出そうと頑張ります。それを必死に文章にします。分かりやすいもの、変わっているもの、深いもの、切実なもの、カラフルなもの。『あみめでぃあ』にはいろいろな文章があります。どうか手にとってみてください。何年も何年も読み込んでください。

 

 これから先、いつかどこかで〈概念〉と向き合わねばならないときがくると思います――「仕事とは何か」「異性と付き合うとは何か」「大人になるとはどういうことか」。そういうときに、きっと、『あみめでぃあ』が味方してくれると思います。少しだけ胸をはって言えば、その自信があります。

 

どうか、僕らの文章を、僕らの言葉を、受け取ってくださいませ。

 

 最後まで味読していただきありがとうございます。読んでいただけたら、全員の励みになります。それでは、また報告させていただきますので、よろしくお願いしますね。